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1月, 2024の投稿を表示しています

Kanavel signs(カナベルの4兆候)はとても大切です

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1週間前に棘が刺さったものの様子をみていたとのことです。皮膚科に行かれましたが手指の問題だからとご紹介をいただきました。 来院された時の写真がこのようになっています。  爪の周りが暗赤色で腫脹、疼痛が明らかです。 本来の色とは明らかに異なります。 これは、棘がささったことで皮下脂肪の組織が細菌感染を起こして周囲の正常組織がダメージを受けています。紫斑とその周囲の変化は炎症腫脹を呈しています。 この状況をKanavel signsと言います。 教科書的には、炎症を起こすことで 熱感・発赤・腫脹・疼痛の4つが発生することをさします。最後に機能障害が起きるので、これを含めて5兆候にする教科書もありますね。 この4つがそろっている場合、患者さんの局所にとっては危険な状況です。 指のこの部位ですと細菌に起因する骨髄炎や腱鞘炎が発生する可能性が危惧されます。そこまで悪化すると機能障害(先ほどでてきましたね)が残ります。この方も1か月の治療期間を要しました。 どうぞ、何か起きたら困りますので、早めの診断と治療を心掛けてください。

母指CM関節固定術後1年6か月

患者さんは70代の女性です。当時「物をつまむといたい」   「ズボンのすそをたくし上げると指のつけねが痛い」「フライパンを持つと痛い」といった愁訴がありました。 母指のCM関節症を関節固定して1年6か月が過ぎました。 患者さんの笑顔がうれしいです。 非常に便利になったんですと、言っていただけました。 また、半年でのfollowとなります。 母指を使う時だけ痛いことも多いとは思いますが、あきらめずにお困りの場合はどうぞ手外科専門医とご相談いただければと思います。

珍しい手根骨の癒合症

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 今日は珍しい手根骨癒合症を提示いたします。労作時痛があるのでご相談を受けたのが数年前でした。お仕事柄仕方ないですね。などとお話しをして半年に一回、外来でお会いしております。レントゲンでまるで間違い探しのようなのですが、違いがわかりますか? よく見ると骨がくっついてますよ。 レントゲン正面像です これは側面像 斜位像となります もう一つの斜位像です   赤矢印の部分が癒合部位です。 珍しいので私自身が興味があるのですが、幸い、患者さんの手関節の動きは問題ないのです。させていただいております。 きれいな背屈可動域です お仕事の負担だけ 注意いただくように 生活指導をさせていただいております。 掌屈も問題なしです 変形治癒で関節固定をせざるを得ない場合の参考になるので 私自身にとっての教科書です。 今後も一つ一つの状況を 丁寧に拝見させていただきます。

ちょっと工夫したマレット指の手術の術後6か月

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 2023年は色々ありました。 本年もよろしくお願いいたします。 今年の1つ目は、前回載せていた患者さんの6か月後の最終診察での外観と動きを提示させていただきます。 手術後は2週目からは制限なく使用いただきました。仕事に支障ないようです。 経過をみせていただくために手術後1、2、3、6か月ごとに写真と診察で拝見しましたので、今回で卒業となります。 骨折の状況によっては石黒法でない方法も行います。早期に手を使いたい方は特殊な手術方法ですが適応があると思っております。 患者さんの骨折状況は一人ひとり異なります。オーダーメードとまではいきませんが、治療方法は医師にも癖や得意なものがあります。どうぞ、患者さんにとって最良な方法を選択、提示できるように今年も進んでまいります。 6か月時点の側面でのレントゲン 外観 動画になります。