野球肘の外側型手術 ~骨釘移植術~
今日の症例提示は、野球肘の外側型損傷の一つである上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)の手術です。 細かな分類などは、割愛しますが、OCDは小学生の高学年から高校生ぐらいまでの成長期に多く見られます。野球肘と言うと内側が痛くなる印象を持っている方も多いかと思いますが、競技生活を脅かすものとしては、頻度は少ないのですが、外側型の方が深刻です。 スポーツにありがちな、「playをしている時だけ痛みがでるのですが、あとは大丈夫なんです。」という流れで、「いつか治るだろう」と思っているかたもいらっしゃったりします。 もちろん、適切な肘への休息をあげていれば問題ないのですが、頑張りすぎると成長期の骨は悲鳴をあげます。アクセレーション期からフォロースルー期への切り替えのときへの肘外側への負荷は大きなものです。頑張りすぎると軟骨の下の骨も駄目になっていき、その表面にある軟骨は損傷していきます。 下の図は損傷した軟骨表面です。まだまだ使えそうですが、じつは軟骨の下の骨が耐えられなくなっています。 そのため、下の図のように肘の部分から骨釘をつくって打ち込み、剥がれかかった軟骨を固定しています。 自分の骨で修復できますし、4から5カ月で競技復帰ができます。 いつも、この手術方法が良いとは限りませんが、「骨の修復を待ちましょう」で、「半年、1年近くかかります」という治療方法だけが良いのか、小中学生の気持ちに沿っているかはまた難しいところです。 親御さんのご意見、方針もまた大切です。 将来のあるお子さんです。軟骨や軟骨下骨がこの年代で損傷したままですと、腕橈関節の変形が発生しますので、将来的な肘伸展制限や伸展時の痛みがでる大人になりやすいです。 これらの相談には、肘関節の解剖や手術に精通した専門医ときちんと相談していただくのが、良いと思います。