投稿

9月, 2018の投稿を表示しています

足関節外側靭帯損傷 ~ 手術症例から ~

  足首の捻挫は、よくあるかと思いますが、1か月以上の愁訴で治りが悪い方は、要注意です。  初期治療期間が過ぎてくると、靭帯としての強度が保てていない場合には、痛みが発生します。  関節としての安定性が失われますので、関節内の滑膜が肥厚、炎症を起こして痛みを惹起します。また、繰り返しの怪我の場合には、距骨の関節軟骨を痛めてしまっている場合もあります。これが発生すると外側だけでなく足関節前方全体が痛みが発生します。  後方の痛みには、三角骨症候群なども潜んでおり、スポーツにおける足回りの怪我はこじらせないように初期治療に注意が必要です。  早期診断、早期治療がスポーツ復帰も確実なものにしてくれると思います。

橈骨遠位端骨折の偽関節

  先日、整形外科集談会という整形外科医の症例検討会発表に参加してきました。タイトルにあるように橈骨遠位端骨折の骨がつかなかったというちょっと困った症例です。正しくは、初期治療に難があり、その後に大学病院の手外科専門医がきちんと直しました。という発表でした。  80代後半の男性とのことです。初期治療を誤ると生活のご不自由な時間が続いてしまいます。  改めて的確な診断と治療をセットで提供できるようにと思った次第です。  次は後輩君が日本足の外科学会で発表してくれます。  学会での経験は自分一人では経験できない症例と出会える大切な研鑽の場です。今後も積極的に参加していきたいところです。

今日の症例から ~橈骨遠位端骨折はどこまで直す?~

  今日は、橈骨遠位端骨折の患者さんでした。2017の橈骨遠位端骨折ガイドラインでは、「活動性が高い、または早期に患肢の使用を要する高齢者には手術療法を提案してもよい」という提言があります。  今回の患者さんも一人暮らしで、自分で食事やごみ出しをするなど生活活動性が高いことがはっきりしていたので、手術を提案しています。  手術をしない治療では、ギプスで4から5週間固定するのでは困りますとおっしゃていましたので、手術日程を設定することになりそうです。  折れた骨をもとの良い形に戻すのも、手術の方が有利ですので(手術しなくてもかまいませんが、骨折のズレをギプスで治せないと意味がありませんので。)確実な治療をとなると選択枝の一つです。  保存療法と手術療法の長所、短所を説明していただき、納得いく治療を選択していただければと思います。

Q:突き指と言われたのですが、痛いです。

  「1か月前に突き指をしたため、整形外科に受診したのですが、「捻挫なので経過を見ましょう」と言われてその通りにしたのですが、痛みが治らないんです」という、患者さんが来院されました。  拝見すると、指の側副靭帯損傷があり、ストレス撮影で20度は左右差がありました。痛みもありますし、まずはもう一度、安静にするために取り外し可能な指ギプスを作成しました。また、患者さんには、病態を説明して初期固定の重要性、指の安定性と可動性のバランスについてご説明しました。  早期の日常生活改善と将来の関節症変化の予防を重視するなら、手術が確実です。  しかし、患者さんには、そこまでのご説明が初期にされていませんので、リセットしたつもりで保存的に行けるところまで、期間を区切って考えましょうとお話ししました。  いつもながらでは、ありますが、関節機能の破綻と損傷の程度によっては、時間だけ待っていても治らないものは多くあります。専門医はそのためにいるともい言えるのですが、改めて初期治療の重要性を認識しています。  これからが、大切です。患者さんと一緒に治療開始です。