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今日の症例から ~橈骨遠位端骨折~

  近医よりご紹介いただいた橈骨遠位端骨折の手術を施行してまいりました。80代の自宅で生活されている方です。今後の手関節の機能訓練は、1週間ほどは管理下での手関節の可動域訓練を行い、状況が許せば夜間のみの固定装具で対応できそうです。  手術前の不安そうな顔を思い出すと今の頑張っている御本人を拝見するにつけ、こちらも癒されているような気がしています。  患者さんにとって良い治療は、人それぞれです。よくご相談しながら最善の治療を一緒に考えていこうと思います。

足関節外側靭帯損傷の診断② ~診断後の判断~

  足関節の靭帯損傷が発生したあとは、その程度をどう足考えるかです。私自身はストレス撮影での関節動揺性と腫脹の程度を重視しています。以前に受傷している方は、ストレス撮影の動揺性と関節腫脹の間に乖離がある場合も多いです。  以前に受傷しているとすでに靭帯は緩くなっているので今回、捻っていても腫脹の程度が低くなります。これが「捻ってもすぐ直るから大丈夫」と誤解してしまうパターンの一つです。  緩みが続くと、軟骨損傷も併発してしまうので一つ一つの受傷時にその重症度を判定をしていくことが肝要です。

今日の症例から ~肘内側側副靭帯損傷の考え方①~

  専門医でもあるため、野球肘の手術患者さんを多く預からせていただいています。  すべてのスポーツ整形外科医がこの手術をしているわけではないので、患者さんには話がさらに難しいのですが、私が患者さんと相談させていただくポイントは「どこまで治療に時間を使えるのか」です。  MRIやストレス撮影で、病態や損傷状態はほぼ判定できますので、あとは、本人が 「 どの試合までに治したいのか」「どのレベルに戻る必要があるか」になります。  傷んでいる靭帯を治すというのは、肘周辺の筋力強化、使い方、試合ペースなど複合要素があります。  治すというよりも負担をかけないで手術せずにスポーツを行うなども選択となる場合もあります。  また手術を選択することの意味は、必要な競技レベルに復帰するためのスタートラインに立てることです。手術後のきちんとしたリハビリテーションをできるかが次のステップとして重要です。  ただ「 様子を見ましょう 」ですと最大負荷がかかると痛みを生じます。  患者さんにとって確実に相談できる医師を探す必要性がある疾患の一つです。

今週の症例から ~橈骨遠位端骨折の術後可動域~

  橈骨遠位端骨折は、骨折が治っても可動域に制限が残る場合もございます。骨折なので骨が治ることがまず第一目標になりますが、この骨折は、手関節の動きに重要な部位ですので骨の癒合と同じくらい動きも大切です。  目標とする可動域は、45度の掌屈、背屈があることが望ましいです。ひねる時に痛みが残らないようにしないと日常生活動作も困りますので、注意が必要です。医療機関によっては「使っているうちに馴染んできます」という言葉を使いそうになりますが、本当になじめるかは重要な問題です。「痛みが出てしまって動かせない」など気になるキーワードが治療中にある場合は、主治医の先生と治療の方針と目標について再確認していただければと思います。