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中学生の野球肘外側型(上腕骨小頭離断性骨軟骨炎)の術中写真 (骨釘固定術)

昔の画像を整理していて、中学2年生の野球肘の手術中動画が出てきました。 慣れないとわかりにくいのですが、軟骨の色はまあまあなのですが、実は軟骨が傷んでしまっていて、 缶のふたがあいているかのように、 軟骨が 浮いてしまっています。 これが肘の外側が傷んでいる場合の投球障害です。もっと進行してしまうとこの軟骨が剥がれて、関節ねずみ(遊離体)になってしまいます。 そのため、 肘から自らの骨を用いて小さな釘を作り、宮大工のように骨棒を釘として剥がれた軟骨片に打ち込んで、浮いている面を固定して修復を図る手術 をしています。 この手術を骨釘移植術と言います。私自身、この手術方法で多くの患者さんの笑顔を取り返してきました。この子も1か月ぐらいからのリハビリを経て、4カ月で競技復帰を果たしました。 この病態で他院では、 「治るまで待とうね」と言われて、 野球を半年、1年と休止させられている方 、図らずも野球をやめてしまった方もいるかと思います。 この子の場合は、 術後4カ月で復帰、レギュラーに戻ってくれました。 野球だけではありませんが、「早期競技復帰」を求める競技者は多いものです。ただ、待つだけでなく幅広く治療方針を考えてもらえればと思います。  

橈骨遠位端骨折の術後写真

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久しぶりに外傷のお写真を載せておこうかと思います。いくつかのplateを使用しておりますが、橈骨遠位端骨折は手をついて受傷しますが、手術をする程度、タイミングなど悩ましいこともあるかと思います。  左のような骨折ですと先生によっては大丈夫かなと思う方もいるようですが、実は関節の中に骨折線が入っている、危険な折れ方です。 側面でみると背側にだいぶ 転位も していますので、きちんと手術をして治したいものです。 手術をすると比べていただければわかりますが、元の形状に限りなく近づけて固定できますし、その分だけ早く手を使うことが可能となります。 確実に治すことで、手関節の機能がけがをする前に戻りやすくなります。 一人暮らしのお年寄りの方などは、4から5週間ギプス固定で不自由となることと1週前後から手を使えるようになるのとでは、やはり差が開きます。 家族の理解も必要ですが、是非、きちんと治していただける整形外科か手外科専門医に相談して欲しいです。 手外科専門医はその点、詳しく説明していただけます。   「正確に治す」「変形を残さない」「機能を回復する」 これは、患者さんにとって必ず良いことにつながります。これらを怠らない努力をしていこうと思います。   

野球肘外側型(上腕骨離断性骨軟骨炎)の治療方針

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先日、使用した講演会での発表スライドを一つ提示しておこうと思います。新聞のインタビューでお答えしたのですが、野球肘の治療の方針にもいろいろな考え方があるかと思います。 私自身は、スライドに提示したような考えを持って患者さんにお話しをしております。 この1枚では限られた内容ではありますが、来院される患者さんのタイミングで治療方針が変わりますが、 患者さんにとってのベストの治療は必ずあります。 選択枝が多いことは悩む方もいらっしゃるかと思いますが、きちんとした専門医での診断、相談をしていただくことを切に願います。