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サッカー選手の足関節の痛み

  今日は、サッカー選手の足関節前方の痛みでした。外側側副靭帯が陳旧性に傷んでいました。これは、本人も自覚していましたが、最近、足関節の前全体が痛いようです。レントゲンでは、骨棘があり、前方のインピンジメント障害と思われました。  本人に今後のスポーツレベルと日常生活動作での困り具合を伺い、今回は、関節鏡視下にデブリードマン(骨棘を切除)することと、靭帯再建をお勧めしました。  県内の2つの医療機関を回ったそうです。もったいない印象です。  2か月の愁訴でしたので、選手も今後に不安そうな顔をしていました。保存療法でも良いのですが、「病態が○○だから、1か月は××までやってみましょう。だめなら代替えの案もしくは手術も考えましょう」などと選手に提示していただけると、きっと選手も安心して身を任せられると思います。  医師によって治療方針が異なることは珍しくはありません。  説明をきちんとすることで、少しでも不安感が減ることが、治療方針を決めていく第一歩になります。  まさに、時は金なりなのです。無駄な時間を費やさないように私も取り組まなくてはなりません。

TFCC損傷って治らない?

  先日、他院からいらした患者さんで、「前の先生はTFCCは治らないから無理せずに使っていきましょう」と言われ、2年間我慢していた方が来院されました。  社会人スポーツですが、我慢していて練習ができないとのことです。  endpointもありますので、MRIと関節造影で尺骨短縮で対応可能であることを患者さんにお話ししたところ、非常に喜んでいただけました。「治療法があると聞けただけでもうれしいです。」とのことでした。  手術をすると生活が2か月ぐらいは、制限がかかることはお話しして、職場と相談してみたいとおっしゃっていました。  治療が難しい病態は確かにあります。患者さんには、治療方針をすべての可能性をお話しするようにしています。難しい症例はきちんと上級の先生に紹介することが非常に重要なのです。  漠然と期限を切らずに治療を進めることは、患者さんに不要な期待と我慢を強いるだけかもしれません。  患者さんとの治療に引き続き、真摯に取り組むことを、改めて思わせていただいた事象でした。

今日の症例から ~へバーデン結節~

  本日は、84歳女性。手指が動かした後、とくに草むしりしたあとや雑巾を絞った後から痛みがあるんですとの方でした。他院で「年齢ですから仕方ありません」「無理のない範囲で使ってください」と整形外科で言われたものの、どうやって過ごすのかは説明をしてもらえなかったとのことでした。  指先のDIP関節の変形でした。へバーデン結節と呼ばれる変形にこ加えて、この方は、水ぶくれのような皮膚の薄い状況が合併していました。通常は、テーピングや一時的な外固定(取り外しのできるギプス)で関節への負荷をへらすことで、いざ使うときに余力が残るように仕向けるだけでも症状が改善する場合があります。やや煩雑かもしれませんが、痛みが取れたりしますので喜ばれることも多いです。  根本的には関節軟骨が摩耗していますので、痛みが生じやすい状況には変わりはありません。つまみ動作が必要な方には、手術にはなりますが、関節固定という方法もあります。2週間ほどの使用禁止期間はありますが、3か月後の指の機能を考えると決して悪い治療ではありません。  84歳の方でも十分、麻酔や体力的には全く問題ありません。  一番残念なのは、「年だから我慢しなさい」や「いつか固まるから大丈夫です」とのコメントをする先生が多いことです。  「いつか」っていつまでですか?と質問をしていただきたいと思います。  手の外科専門医の認知度が低いのが、原因かもしれません。  患者さんのお役にたてるように「治療」と「説明」にはより重点を置きたいと思います。

本日の診療から ~橈骨遠位端骨折~

  本日は、関節内に骨折線が入っていた橈骨遠位端骨折の患者さんでした。60歳代の女性。3世代でお住まいの家族の食事をつくる現役の主婦の方です。  大きなズレがない場合には、手術をせずに治療可能なことが多いのですが、ギプス固定を4から5週間は必要となります。  意外に思われるかもしれませんが、ギプスをしていても途中で骨がズレていくことがあるため、手術よりもより慎重に治療を進める必要があります。  腫れが引けてくるとギプスが緩くなるため、途中で骨折部がズレる場合もあります。しかしながら、それを恐れて手指の先まで固定をされてしまうと今度は手指の動きが硬くなります。  まれに、「後から頑張りましょう」という医療機関もございますが、 ギプスを巻いて4,5週間の時から慌てて開始しても、関節が硬くなってくると痛みを生じやすくなり、さらに動かさない、動かせないということがあります。  手術を選択すると前述の不確定要素は、大幅に軽減されますが、手術をするということ自体のハードルは一般的に高いものです。  今回は、手術なしでギプスで頑張っていくながれとなりました。  いつも治療の説明は、難しいものです。複数の治療方法がある場合には良い面、悪い面を理解していただき、患者さんと医療機関の方向性があうように、治療をえらべるよう心がけていきます。

手の外科疾患の新聞記事

5月9日から5回特集で読売新聞紙上で手のトラブルとして、記事が掲載されています。昨日は、デュプイトレン拘縮、本日は、手の腱鞘炎の一つ、ドケルバン病でした。このように全国紙で取り上げていただけると私の小さなブログよりも影響力は絶大です。池上先生も酒井先生もその道の第一人者であることは、もちろん、日本手外科学会の中でも同分野をリードされる中心となっている先生です。 ご興味のある方は、どうぞご期待ください。 私自身も楽しみにしております。

最近の症例から ① ~高校野球選手の骨折~

  ブログも久しぶりの更新となります。甲子園も開幕して活躍する高校生を見るのが、夏の風物詩ですね。仕事柄、悲喜こもごもは予選の段階で故障している患者さんとの出会いです。  今年の思い出エピソードは、5月に指の骨折をした高校3年生の患者さんです。他院で手術せずに経過をみていたようです。甲子園予選に間に合うかどうかの質問には答えてもらえず、3週間ぐらいたってから不安になり来院されました。  野球に限らずスポーツは、限られた時間との戦いです。本番までの練習はできるのか?、本格的な復帰はいつなのか?、練習に耐えられる強度に戻るのはいつなのか? これを具体的に提示してあげることが医療機関にとって重要です。  手術がすべてではありません。最短、最善の方法をきちんと提示する医療機関を選んでほしいと切に願います。  この高校生は手術をして、県予選に間に合いました。そして、幸い県予選を突破して、甲子園にもレギュラー出場できました。  私自身は、テレビ応援になりますが、やはり治療した選手が活躍してくれるのは、うれしい限りです。いつも付き添われていらしたお母さんの顔も浮かびました。  「正確な診断」「的確な治療」を実践するために診療を続けてまいります。