手根管症候群の手術跡について

 手根管症候群の手術を依頼いただくことが多いのですが、実際の傷ってどのくらいなのですか?というご質問をいただくことも多いです。

外来では術後の実際のお写真とともにご説明することが多いです。難しい時代なのですが、少し提示しておこうかと思います。


左の傷が手術後1か月です。

まだまだ傷の周辺が赤いですね。

この時期は表面的には治っていて、水も使っていただきますが、この部分に負荷がかかると肥厚性瘢痕を発生しやすくなり、皮膚の表面が硬くなることもありますので、消炎鎮痛剤(塗薬)などを併用しながら修復を待つことをお勧めしています。








 この写真は別の方ですが、術後2か月です。見た通りで次第に傷の周辺の赤みが低下しています。このぐらいまで来ると通常の生活や傷の上に負荷がかかってもほぼ問題ないと思います。

仕事などで物を持つ方、掃除機の柄や包丁の持ち手部分などが当たりますので、意外と気になるものです。








 最後の写真は術後1年たった方です。患者さんの右手が手術をしています。この方は対立再建という母指のつまみ動作を同時に修復する腱移行術を行っています。傷の長さが少し長いのはそのためです。左のてのひらと同じ色合いであることがよくわかります。

手術の方法は医師によって、その考え方があります。関節鏡を用いて行う先生もいらっしゃいますし、切り方に工夫をされる方、道具に工夫を凝らす方などさまざまな歴史があります。基本はどれも一緒で、正中神経の絞扼部に当たる手根管での横手根靭帯を切離して、同部を拡大し、環境を良くすることが目的です。

この手術をすることで正中神経が新しくなる訳ではございません。そのため、手術をされるタイミングによっては症状が残る場合もあり得ます。

今回は傷のお話でした。患者さんのてのひらはいつも使って見える部位です。術後のイメージがわかることは患者さんにとっても有意義なことと思います。







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