今日の症例から ~ ばね指の関節鏡下腱鞘切開術 ~

今回は、ばね指(腱鞘炎)の手術症例についてです。

ばね指の手術をさせていただく場合、患者さんとご相談しながらですが、3cmぐらいの横皮膚切開で手術をさせていただくことも多いのですが、今回は関節鏡下の腱鞘切開術となりました。

症状としては中等度で関節拘縮はなく、他動での指伸展も保たれ、深浅指屈筋腱の癒着も手術前にないことが明らかな患者さんでした。

この場合は、シンプルに指の屈筋腱の通り道(これを腱鞘といいます) を切って開放するだけでスムーズな指の動きが回復する可能性が高いです。

そのため、前述の条件が整っていて、手指を使う方で少しでも早く水を使いたい方には、手術の選択として提案させていただいております。


この傷で手術後1週間です。実際には5日目から水を使うことを許可しています。

手術で皮膚切開をすると、傷からの感染予防のため、10日前後での抜糸をしますのでそれまでは水を使うことは控えます。

この数日間は患者さんにとって大きな差ですね。小さい分だけ局所腫脹が強くてイメージよりも痛かったなどもありうるのですが、実際には3日ぐらいで痛みは減衰します。

もちろん、他院でも行うように皮膚切開しても同じですが関節鏡やエコーガイド下この類の手術はシンプルに腱鞘だけをきるので、腱の癒着や周辺滑膜、肥厚した腱鞘の処置などはできません。

ですので、軽症例にお勧めしています。


手術を好きな方はいないので軽症の方は注射の処置などもよい適応ですが、この手の手術自体は傷の小ささからも体への侵襲は少ないのも事実です。準備などの方が大変なのと、元来3cm程度でできる手術ではありますし、全国的に普及している程ではないのですが、当院ではこのような処置も選択可能ですので、ご用命があればご相談いただければと思います。

 整形外科とくに上肢の関節鏡手術は日進月歩です。整形外科一般医としては必須手技とは言えませんが、修行時代の小生に多くのヒントや見本手術、叱咤、激励いただいた大学諸先輩方にいまさらながら感謝しております。

このブログの人気の投稿

本日の手術後症例 ~母指CM関節症の手術後~

手首の付け根が痛い  ~母指CM関節靭帯損傷~

ちょっと珍しい爪下の腫瘍(グロームス腫瘍)